人生の難易度を下げる攻略法

25年ほど生きてみたところ、悩みとその結果としてのつらみ(人生の難易度)は足し算ではなくかけ算の関係にあるんじゃないかということが薄々わかってきた。

何を言っているかわからないと思うのでもう少し整理すると、生きていると悩みが自然発生する。
顔が不細工だ、家が貧乏だ、みたいなわりと恒常的な類の悩みもあるし、3日後がテストだ、うんこが漏れそうだ(または漏らした)、職がない、みたいな突発的・期間的な悩みもある。あとは歯を磨くのがだるい、着る服を選ぶのがめんどくさい、爪を切るのが煩わしい、といった定期的に発生するものもある。

そうした悩みを即座に無にするのは悟りを開かない限り不可能なので、いきおい、大抵の人間は常に複数の悩みを抱えて生きることになる。それらの悩みがどれだけ精神を圧迫しているか、その負荷のステータスがつらみである。つらいと何をするにしても難易度が上がる。

そして、悩みにはそれぞれ違った重さがある。「爪が伸びてきたけど切るのがだるい」が2とすれば、「明日のプレゼンの準備が全然出来てない」とかは20、といったように。

では、「爪が伸びてきたけど切るのがだるい」と「明日のプレゼンの準備が全然出来てない」を同時に抱えた場合、その結果としてのつらみはどうなるか。
2 + 20で22だと思われるだろうが、経験的に実はそうではなく、2 × 20 で40ぐらいになるというのがより実感に近いのではないだろうか。人間はワーキングメモリが貧弱なので、同時に複数の悩みを扱う(マルチタスク)というのがとても苦手なのだと思う。いろんな問題が重なってウォァーーーッとなってパンクしそうになっているときでも、一個一個紙に書き出して考えてみると意外とそれぞれはたいしたことなかったということがよくあるが、あれはそういう理由で発生しているのだと思う。

そこから導き出される人生のプレイスタイルは何かというと、「悩みはまず数を減らしにかかった方がいい」ということだ。
爪を切るのがだるい(2)とか服を選ぶのがめんどくさい(4)とかいったしょうもない悩みでも、他の大きめの悩みと束になって掛かってくることで負のシナジーが発生し、つらみは級数的に上がって行く。それを未然に防ぐために、爪を切ることで弱めの悩みを即座に潰した後で、強めの悩みであるプレゼンの準備に取りかかる。風来のシレンでも、複数のモンスターを相手にする際はタコ殴りにされないよう、通路に引き寄せて1匹1匹倒すのが鉄則である。

つまり、自分の力で対処可能な小さめの悩みはさっさとつぶした方が全体効率がはるかに良い。そしてさらに良いのは、そもそもそうした予測可能な悩みが発生しない仕組みを作ることだと思う。

僕の場合は、毎日着る服に悩むのをやめるために、同じシャツを何着もまとめ買いしている。悩みは選択肢から発生するので、平日はこれしか着ないと決めてしまえば余計な悩みは発生しない。食事も何を食べるか考えるのをやめるために、会社で米を炊き、冷蔵庫には「納豆・豆腐・卵・キャベツ」という僕の構築した最強デッキを常備している。デフォルトの選択肢を固定してしまえば悩みは発生しなくなる。

これをやることで、人生の難易度が1、2段階ほど下がっているという感覚がある。
なにかのきっかけで大きめの悩みが爆誕しても、日頃から抱える悩みの数が少ない(手が空いてる)のでつらみはそこまで大きくならず、すぐにはいっぱいいっぱいにならず落ち着いて解決に取り組める。同じ問題が発生しても精神の動揺が少なめになる。

何を着るか、何を食べるか、何を買うか、どこに行くか、どうやって行くか。生活は無数の選択肢の連続で、豊かさは選択肢の数として現れるけれど、選択肢が増えることによって悩みもまた増えている。選択肢を減らして何に悩むかを絞り込むことで、問題にフォーカスする攻略法が必要なんじゃないかと思う。

目下、爪が伸びない方法を考えているところである。


2016年8月28日

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